動物実験規制の講習を終了しました
こんにちは、管理人のおもちです。
今日ようやく動物を取り扱うための講習を終えてホッと一息つきました….。実に疲れました。
実際に私が扱うのはゼブラフィッシュですが、マウスや霊長類を扱う場合と同じように動物実験用の講習を受けます。今回はこの講習についての報告です。
講習の概要
L K Tモジュール(Institut für Labortierkunde: (Institute of Laboratory Animal Science) )と呼ばれる講習です。
全20時間のオンライン教材と、それを終えた後に対面形式で行われるペーパーテスト、そして計4日間の講義と実技を合わせた講習を受けて、証明書をもらって初めて動物実験を行えるようになります。
(ペーパーテストについては、"スイスの夏休み(?)@大学院“の、“動物福祉(Animal Welfare)の観点からの研究者教育“参照)
テストはチューリッヒ、講習のうち3回はベルン、1回はバーゼルで行いました。年度やその回によって行う場所や教授陣が変わるようで、数年間はコロナの影響もありアレンジメントが難しかったようです。今回は全て対面で行われました。
受講者は?
基本的にこのライセンスを持っていない人が対象なので、ラボに新しく所属した博士課程の学生とポスドクが参加していました。チューリッヒ、バーゼル、ジュネーブ、ベルンなど各地から来ています。
参加人数は毎回10人〜20人程度で、コーディネーターと講師陣が対応してくれました。年に何度か同じ講習があるので、全ての講習で会った人もいれば1回しか会わなかった人もいました。その時々ですね。
内容はどんな感じ?
オンライン教材はどの動物を取り扱う人も基本的に同じ内容を受けるようになっています。そのため私も齧歯類や霊長類に関する実験における留意点を事細かに覚えました。ネズミの顔を今なら見分けられる気がする…!
対面の講義や実技では、各自が自分の扱う予定の動物に合わせてコースを取ります。マウスを扱うなら齧歯類用のコース、カエルを扱うなら両生類用のコース、などです。私の場合はゼブラフィッシュなので、魚類用のコースでした。実際、受講者の中にはマスやトビウオを扱っている人もいて、コースの中でもこれらの生物が取り上げられました。
システム化された講習に驚き
修士の頃までは昆虫を扱っていて、特にアニマルウェルフェアや動物実験の法律に抵触しない(はず)範囲の実験でした。当然日本でも、研究者倫理や動物福祉の講義またはオンデマンドで全般的なことは学びましたが、ここまでシステム化された講習を受けるのは初めてです。
欧州はかなり基準が厳しい&年々厳しくなっているという話を聞いていましたが、この講習でも規制の波を肌身で感じました。講習そのものもなかなか大変で、全ての講習を終えるまでにまるまる半年かかりました。これで最短です….。
よかった点
やはりスイス国内での動物実験に関するルールを知ることができたのは大きいです。実はスイス内でもカントンごとにルールが違うので、よく確認する必要はあるのですが、全体としての空気感というか基準を知ることができました。
講習だけでなく実技もあり、そこで別のラボを訪れて実際にちょっとした作業をやったり、別の環境でのやり方を覗き見たりしたのもいいポイントでした。自分のラボで篭っていると、どんなやり方を他のラボで行っているのかわからないので貴重な体験です。
そして副次的なメリットとして、スイス各地の大学や研究機関でゼブラフィッシュやその他の魚類を扱う若手研究者たちと交流できました。これがかなり個人的には良かった点です。丸一日過ごすので、ランチを一緒にとったり作業したりして、割と話す機会も多かったのです。今後も学会などで会えるでしょうし、いい交流となりました。
おわりに
今回は動物実験のための講習についてお話ししました。今回までに学んだことをラボでも共有して、より良い環境でゼブラフィッシュたちを扱えればなあと思います。
あ〜〜〜〜〜疲れた!ようやく終わった!週末まであと一日あるけど、ワインとチーズで優勝しよ….。みなさんもお疲れ様です。
それではまた〜