学生指導とサマースクール、2024夏

こんにちは、管理人のおもちです!そろそろ秋の気配が近づいてきたスイスです。
今回は、今年の夏を2つのトピックで振り返ろうと思って筆を取りました。振り返ってみれば充実したいい夏になったのかなあと思います。

学部生への卒論指導

2度目の学部生への指導が6月に開始しました。期間は8週間+2週間のwritingです。日本の卒論研究に比べると非常に短いと言わざるを得ないのですが、まあそれは仕方ないのでその中でラボワークに慣れてもらうことが主な目的です。

前回の反省を活かせた…?

今年春にも学部生の卒論指導に携わったのですが、なかなか成果を出すような指導をすることができず、申し訳ない気持ちでした(学部生の卒論プロジェクトを監督した話)。その反省を元にしてプロジェクトを練った結果、今回の卒論指導はほぼ理想通りに行うことができました。

やはりプロジェクトの成否を分けるのはその中身なんだよな…と思った次第です。もちろん今回の学部生さんも非常に真摯に取り組んでくれましたし、その努力があってこそです。それだけに、真面目に行なって成果が出なかった前の学部生さんには悪いことをしたなあという後悔があります。

改善できたこと

良かった点としては、プロジェクトを必ず成果の出るものに設定して実験種類を絞ったことです。8週間という短い期間では、博士学生としても出せる成果というのは限られます。そのため、少数の実験技法を学び繰り返すことで成果が出るような実験計画を組みました。

学部生さんをほぼゼロベースのラボワークからある程度の独立性を学ぶところまで持っていくことが私の仕事における優先事項ですが、結果として卒論から次に繋がる成果も出せたことは大いに良かったです。ついでに修士学生としてのリクルートにも成功したのでドヤ顔です。

また、8週間の中で何度かラボワークに関するフィードバックを行なったのも悪くはなかったのかなと思います。学部生さんに次に到達するべきポイントを明示できたとすれば良かったです。最終的には学生さん自身が実験を組み立てて行なっていたので、その自主性が素晴らしかったです。

次に活かすとするならば

改善点としては、まだプロジェクトの立案段階で練れることがあることです。今回は8週間をまるまる使える学部生さんだったので、こちらが提示した実験の8-9割を終えることができました。しかしそれでも時間切れになってしまった実験もあったのが心残りです。

通常の卒論プロジェクト期間は講義と並行して行われます。そのため、もしまた新たな学部生さんが来るとしたら、プロジェクトの方針は同じくしつつ短期間で成果が出る/出やすい実験をいくつか渡すようにするつもりです。

成果が出ると学生さんのモチベ向上にもなりますし、こちらも関連プロジェクトが動くので良いことづくめだなと思いました。修士学生さんの指導はまだ行なったことがないので、さらに教育経験を積んでプロジェクトをいいものにしたいです。

NCCR summer schoolへの参加

2年前にも参加したサマースクールに今年も参加してきました。残念ながらファンディングの都合上、今年が最後のようでしたが大変充実した時間を過ごせました。

サマースクールのトピック

今回のトピックは"Heterogeneity in Chemistry, Space and Time"という、RNA関連のサイエンティフィックな議題が中心でした。半分は講義形式、半分は学生側のinteractionを含むワークです。

前回のサマースクールは"Entrepreneurship"がお題でしたが、こちらよりは今回の方がサイエンスを中心としてより楽しめたなと思います(NCCR summer schoolに参加した話)。何よりNCCR RNA&Diseaseというコミュニティが主催しており、私はそのプログラムの学生のため、非常に関連する話題が多かったです(NCCR公式リンク)。

参加者の内訳

NCCRというスイスの教育機関が出資している会のため、このコミュニティに所属している学生が7-8割ほど、国外からの参加者が2割ほどでした。学生やポスドクが40-45人ほど、PIが10人弱です。主催者の先生方のうち数人はすでに顔見知りの関係だったため、身内の雰囲気もあり楽でした。

国内からはETH, UniZurich, EPFL, UniBasel, UniBernなど主要な大学の学生が参加しており、国外からはイタリア、ドイツ、フランス、イギリス、チェコといった国からの博士学生がみられました。修士の学生から参加が可能ですが、主には博士課程の学生とポスドクが優先的に招待された模様です。

PIに関しては、若い世代への啓蒙もあってか男女比が均等になるようにオーガナーズされていました。それぞれのPIが各分野について2人ずつ割り当てられている印象でした。

怒涛のアウトプットが求められるサマースクール

サマースクールでは、事前準備を含む発表やグループワーク、そしてsocializationの機会が多くあります。朝8:30から夜9:30まで、途中には食事やコーヒーブレイクを含む時間があるものの密なスケジュールです。

グループワークでは即席のグループで案をまとめたりサイエンティフィックなディスカッションをしたりと、日本の1dayインターンのような様相を呈していました。なかなかにハードです。

以前に参加したときはセミナーの内容についていくだけで精一杯でしたし、参加者の中で一番私が何もわかっていないし何もできていない自覚がありました。しかし今回はチームのワークや全体のディスカッションに貢献できたと思いますし、自分の成長も感じられて嬉しかったです。

指導に休暇、サマースクールと密な夏でした

終わってみればあっという間に過ぎ去りし夏…。今年は両親もスイスに来てくれ、楽しい時間を過ごすことができました。自分の能力が(多少でも)向上し経験を積んだたおかげか、あまり疲れることなく楽しく乗り切れたのが何よりでした。

秋からは学部生さんへの実習指導もありつつも、主には自分の研究を進めたり進捗を発表したりとリサーチワークの時期になりそうです。日本への帰国を考えてはすでにワクワクしています!中間審査が終わった段階で再び何某か近況報告をできればなあと思います。

海外大学院

Posted by おもち